忘備録 【ソ連文化史に関して】

今は主にショスタコーヴィチ関連。

前回投稿分の和訳について

前回の投稿で、グリークマン書簡集(まだ前書き)のp.4を訳し終えましたが、かなり苦労しました。 わたしは、ショスタコーヴィチの生きたソ連時代に関しては少しは知っているつもりですが、プーシキンの時代、つまりバイロンの時代についての世界史の知識はす…

『グリークマンへの手紙』和訳 p.4

(p.4、16行目から) このことについて、プーシキンは1825年11月下旬、ミハイロフスコエから友人のP. A. ヴァーゼムスキーに宛てた手紙に、興奮気味に書いていた(*)。プーシキンの手紙の驚くべき点は、回想録の話題に関する実に意外な視点や反復、また、天才…

「廃墟」の設計図

さっさとヴォルコフの『証言』を読み始めればいいのに、新しく図書館で借りてきた本に手をつけてしまいました。 2011年に出版された、『ロシア文化の方舟 ソ連崩壊から20年』という本です。 これは、様々なロシア/ソ連文化・芸術を専門としている研究者さん…

『グリークマンへの手紙』和訳 pp.3-4

(p.3、13行目から) ドミトリー・ドミトリエヴィチの、回想録のジャンルに対する嫌悪をよく知っていながら、それでも、私は敢えて、彼が深く崇拝していたピアノの先生であるレオニード・ヴラジーミロヴィチ・ニコラーエフについて、数ページ書いてくれるよう…

『グリークマンへの手紙』和訳 p.3

前書き 精神的な不安を持ったまま、長い迷いの後、私はD. D. ショスタコーヴィチの手紙を出版することを決意した。 彼ならばこの試みについてどう思ったであろうか、と執拗に考えずにはいられない。 何しろ、これらの手紙は、特定の秘密や機密は書かれていな…

グリークマン書簡集を翻訳します

ショスタコーヴィチがグリークマンに宛てた手紙を集めた本 "Письма к другу: Дмитрий Шостакович - Исааку Гликману" (英訳: "Story of a Friendship: The Letters of Dmitry Shostakovich to Isaak Glikman) の日本語訳版の本が、どうやら無いようですね。 …

ヴォルコフの『証言』を読もう

ヴォルコフの『ショスタコーヴィチの証言』をめぐる議論を分析して、そしてその他の「ショスタコーヴィチ関連書籍」も分析して、ソ連文化史の成り立ちの問題?を考えようと思ってたんだけど、なんか行き詰まりました ショスタコーヴィチを語るのって、近親者…

ショスタコーヴィチ研究の現状は?

ショスタコーヴィチ研究において、ヴォルコフの『証言』に縛られるのはやめましょうよって動きが主流になってから、もう20年くらい経つと思うんですが、じゃあ今はどのようにして研究が行われているんでしょうか 最も引用される文献はどれなんでしょう ロー…

前衛芸術ってなんだろう

ショスタコーヴィチって、「前衛」にカテゴライズされることってほとんど無いですよね 似たような理念を持っていた演出家のメイエルホリドや詩人のマヤコフスキーは、「前衛」にカテゴライズされることもあるのに、 ショスタコーヴィチはまず無いですよね ソ…

記憶の歴史化

(タイトルの「記憶の歴史化」という言葉は、梅津紀雄さんの言葉をお借りしました) ショスタコーヴィチ関連の本や論文を読んでて、思ったことがあります ショスタコーヴィチの死後、彼の「本当の意図」を語ろうとした人たちはたくさんいて、 でももう彼はこの…